JRを越え、国道2号線を横切り、桜並木の通りをすり抜けると、川西グラウンドがあって、その手前の交差点を左折して坂を上りきると芦屋川。川をまたぐように阪神芦屋の駅がある。
芦屋川は、河床の三面がコンクリート護岸されているのみならず、水は少なく低い堤防の連続で、こんな汚い川でも天気がよければ家族連れが川床まで降りてバーベキューなんかをやっている。
奥多摩の清流とカヌーをしってしまった今となっては、実にかわいそうな風景なのだが、昔はあっ、ええなあ。なんぞと思ったりもしたっけ。
しかも、天井川で有名だそうで、なんと川の下をJRの線路が横切っておる
こんなありがたい川が街の真ん中を流れている芦屋といい、川床の両面にダンプ道が通っていて、山を削った土砂を海の埋め立てに使うという、全国有数の土木都市、神戸といい(神戸は芦屋の隣)オレの育ったところでは、川という概念がちょっと異質のものだった。
しかし、こんな情けない、川というより溝ではあるが、水遊びはできないものの、川に沿って桜並木が続き、このシーズンになるとお花見スポットには事欠かなかったんや!←なんで怒ってるねん!!
さて、オレがいままで見た中で、一番美しいと思った桜の話をしよう。
国道2号線の南側、冒頭で紹介したあたり、芦屋市辻町、神戸市東灘区は地震の被害の最も大きい地域のひとつで、多くの死者を出している。
震災直後、国道2号線は、延々と渋滞する車、その間を縫って走る単車、点滅しない信号、2ケツ3ケツは当たり前の原チャリ、埼玉、神奈川、などなど全国各地から動員された交通整理の警官、常にどこかで鳴り響くサイレン、傾いた電柱、垂れ下がった電線、瓦礫と化した倒壊住宅、お互いにもちつもたれつして、ようやく倒壊を免れているビル・・・・。今まで一度も目にしたことがない風景が展開された。
日にちが立つにつれて、瓦礫が撤去され、さら地になり、思いっきり見通しが良くなった。
4月から転勤が決まった。
報道なんかから想像するのは無理だが、震災後の阪神間には、異様な熱気があった。
中には、もう立ち直れないほど落ち込んだ人もいると思うが、街全体がアドレナリンで満たされている、テンションが高まってイケイケムード、そんな感じだ。
たぶん、そうでもなきゃ、みんなやっていけんかったんやろね、きっと。
それだけに転勤するのがいやだった。
かといって、こんな時に会社やめるんは自殺行為やしね。
転勤を前にして、時間をみつけて街を見て回った。
生まれ育った街がどんなありさまか、見ておく必要があると思った。
2号線に沿って、東灘区の森南町から芦屋市の辻町に向かって歩いた。
さら地のいたるところに、花が添えられてあった。
それを目にするたびに、ここでも人が死んだのだと思った。
まだ三月なのに桜が咲いていた。
桜の淡いピンク色は、濃い青空に映える。
その日は、藍色に近いほど空の色が濃かった。
桜の木の下には、死体が埋まっている。
芦屋川は、河床の三面がコンクリート護岸されているのみならず、水は少なく低い堤防の連続で、こんな汚い川でも天気がよければ家族連れが川床まで降りてバーベキューなんかをやっている。
奥多摩の清流とカヌーをしってしまった今となっては、実にかわいそうな風景なのだが、昔はあっ、ええなあ。なんぞと思ったりもしたっけ。
しかも、天井川で有名だそうで、なんと川の下をJRの線路が横切っておる
こんなありがたい川が街の真ん中を流れている芦屋といい、川床の両面にダンプ道が通っていて、山を削った土砂を海の埋め立てに使うという、全国有数の土木都市、神戸といい(神戸は芦屋の隣)オレの育ったところでは、川という概念がちょっと異質のものだった。
しかし、こんな情けない、川というより溝ではあるが、水遊びはできないものの、川に沿って桜並木が続き、このシーズンになるとお花見スポットには事欠かなかったんや!←なんで怒ってるねん!!
さて、オレがいままで見た中で、一番美しいと思った桜の話をしよう。
国道2号線の南側、冒頭で紹介したあたり、芦屋市辻町、神戸市東灘区は地震の被害の最も大きい地域のひとつで、多くの死者を出している。
震災直後、国道2号線は、延々と渋滞する車、その間を縫って走る単車、点滅しない信号、2ケツ3ケツは当たり前の原チャリ、埼玉、神奈川、などなど全国各地から動員された交通整理の警官、常にどこかで鳴り響くサイレン、傾いた電柱、垂れ下がった電線、瓦礫と化した倒壊住宅、お互いにもちつもたれつして、ようやく倒壊を免れているビル・・・・。今まで一度も目にしたことがない風景が展開された。
日にちが立つにつれて、瓦礫が撤去され、さら地になり、思いっきり見通しが良くなった。
4月から転勤が決まった。
報道なんかから想像するのは無理だが、震災後の阪神間には、異様な熱気があった。
中には、もう立ち直れないほど落ち込んだ人もいると思うが、街全体がアドレナリンで満たされている、テンションが高まってイケイケムード、そんな感じだ。
たぶん、そうでもなきゃ、みんなやっていけんかったんやろね、きっと。
それだけに転勤するのがいやだった。
かといって、こんな時に会社やめるんは自殺行為やしね。
転勤を前にして、時間をみつけて街を見て回った。
生まれ育った街がどんなありさまか、見ておく必要があると思った。
2号線に沿って、東灘区の森南町から芦屋市の辻町に向かって歩いた。
さら地のいたるところに、花が添えられてあった。
それを目にするたびに、ここでも人が死んだのだと思った。
まだ三月なのに桜が咲いていた。
桜の淡いピンク色は、濃い青空に映える。
その日は、藍色に近いほど空の色が濃かった。
桜の木の下には、死体が埋まっている。