『あの戦争は　何だったのか』　　　　　　保阪正康

阪神大震災が16年前

16年という時間が経っているにもかかわらず　つい最近のような　鮮烈な記憶として　残っている

終戦の年　昭和20年は　わたしの生まれる　ほんの16年前だった　と考えると　あの戦争（太平洋戦争）は　つい最近の歴史であったのだ

実際　震災の時　母親の知人が　倒壊した文化住宅から　助け出されたのだが

『空襲は　ウーッっゆうて　サイレンがなるから　防空壕に逃げたらええねんけど　地震は突然やから　ほんまに怖いわ』　

と　戦争と震災を　同じ　比較しうる体験として　語っていた

それを聞いたとき

「戦争なんて　はるか昔の話やんか」

と　思ったものだが・・・


著者は　『あの戦争』は　結局　起こらざるを得なかったのでは・・・

と　結論づけている

では　どの時点で　あの戦争が起こらない体制を　構築できたのか？

ここからさきは　私論

太平洋戦争へと駆り立て　泥沼化させた大きな要因は　海軍と陸軍の　手柄争いだ

海軍は　薩摩閥　陸軍は　長州閥であったという

つまりは　薩長の確執が　ここまで尾を引いているわけだ

明治の富国強兵策によって　軍事大国へと　方向づけられたわけで　石原莞爾曰く　曲りなりにも平和であった江戸時代の日本人を　強制的に目覚めさせた　ペルリ（ペリー）が悪い　というわけだ

しかし　徳川政権にしてからが　征夷大将軍をトップに仰ぐ　軍事政権なのだ

思うに　堺の自治都市が成立していた時に　織田信長を跳ね返して　海外と広く交易をし　共和国時代のヴェネチアのように　世界を股にかけた　商業国家として　経済大国を目指していれば　また　ちがった展開が　あったのかも知れない

しかし　武士が力を持ったのは　平安時代後期のことであり　その後　南北朝時代に　後醍醐天皇に　もっと見識があって　大塔の宮に軍事権を委任し　その下の参謀に楠木正成を据え　赤松円心を厚遇したりして　足利氏を抑え　天皇親政社会を作っていたら　武士の力は抑えられ・・・ま　貴族社会は　どうせ　腐敗しただろうが・・・

また　元寇のときに　蒙古に叩きのめされ　元に支配されていたら　もっと現実的にシビアに物事をとらえ　お山の大将的　神風的メンタリティーは　育たなかったに違いない　

また　今東光が　言っていたように　縄文時代から弥生時代に変わるときに　海洋国家の道を捨てて　農民国家の道を選んだのが　遠因か？

ま　しかし　すでに　日本は　あの戦争への道を選んでしまった

で　あの戦争は　何だったのか？