金曜日は、遅番で、会社が終わるのが9時なので、最初、行くつもりはなかったのだが、半分でもいいから聞きたいと思い、グルーオンに出かけた。

グルーオンは3階で、その5階に、NO TRUNKS というジャズ喫茶があって、そこのライブに、ギターの加藤崇之がライブをやっているらしい。

最近お気に入りのギタリストなので、ちょっと気になった。

店(グルーオンの方)に入ると、前半のセットが、終わりかけるところで、そのあと、休憩になった。

いきなり、加藤崇之が入ってきて、中島さんに

『やあ、ママ』

と言った。どうやら、5階も、休憩らしい。
中島さんは、リアクションに困って、

『ママ?・・・あ・・ああ・パパ・・』

などと、言い返していた。

この夜のメンバーは

林栄一(as)
中島久恵(p)
是安則克(b)
小山彰太(ds)


凄い!

サックスは、音ぐらいなら、出せる。

Round about midnight

のテーマぐらいだと、ちょっと練習すれば、吹けそうだ。
メロディーは、簡単そうだし、スローテンポだし・・・

しかし、林栄一のようには、絶対吹けないだろう。

オーネットぽく、吹くのも良いし、エリック・ドルフィーを思わせる、振幅の大きいフレージングで、テクニカルに吹くのも良いのだが、ボクが、林栄一の演奏で、一番好きなのは、スタンダード・ナンバーをストレートに吹くときだ。

たぶん、山下洋輔も、林栄一の吹く、スタンダード・ナンバーが、好きなのに違いない。
だから、林栄一の、スタンダード曲集を、プロデュースしたのだろう。

『Body and soul』
『You don’t know what love is』


スタンダードをストレートに吹いていても、どこかに、エイちゃん節としか、形容しがたい、何か、微妙なニュアンスがある。

そして、それを、昨夜のグルーオンのライブで、あらためて、感じた。

Round about midnight

は、ジャズのスタンタードの中のスタンダード、と言っても良い曲だ。
それだけに、普通に演奏すると、平凡になりやすいんじゃないか、とも思う。
そこのところ、ホントは、よーはわからんが・・・

ピアノの中島さんが、曲名を告げて、林栄一が、マウスピースをくわえる。
リードの振動が、管を通過して、その場の空気を共鳴させる。メロディーが、奏でられ、ピアノ、ベースが寄り添うと、いきなり、室内は、ジャズの色彩に変貌する。

この瞬間、身体中、さむいぼだらけになり、目が潤む。

半分しか聞けなかったけど、来てよかった・・・と思う。