久々に、グルーオンのライブに行った。

fus trio

坂井紅介(b)
田中信正(p)
つのだ角田ケン健(ds)ママ

実は、田中信正が来る!ということで、前々から、楽しみにしていた。
以前、ピットインで、初めて見て、ファンになった。
ピアノを弾く姿勢が、不思議だ。
ピアノのレッスンの時なんかに、同じ姿勢で、ピアノに向かうと、もっと肩の力を抜きなさい、と言われるのかも知れない。

ミシェル・ペトロチアーニは、生まれつきの病気で、身長が1メートルに満たない、という身体的ハンディーを乗り越えて、超絶のテクニックを身につけたが、彼は、まず、身体的不自由さを獲得してから、超絶テクニックを駆使しているかに思える。
もしかすると、長い手足が、ともすれば、ピアノの枠を超えてしまうのを、制御しているのかも知れない。
なーんてわけ、ないだろが・・・

それにしても、坂井紅介(b)
pやdsとコンタクトをとるほかは、わたしの後ろのあたりにいる客の方を見つめていて、その客が、やんちゃな子供で、イスの上に立ち上がって、変な踊りをしたり、ほかの客を蹴飛ばしたりするので、

コラッ!シッ!おとなしくしろ!めっ

と叱りながら、ベースを弾いている。と、勝手に想像してしまう。
時おり、

ん、もう・・・しょうがないんだからぁ

といわんばかりに、ニタリと笑う。

つられて、見ているこっちも、ニタリと笑ってしまう。

終わった後で、サインをもらった。
その時に、ベースを弾くときは、何を見ているんですか、と、思わず聞いてしまった。
すると、

『自分は昆虫っぽいところがあるから、ひとつの光を見てたりする』

という、なんとも、香ばしい答えが帰ってきて、すごく嬉しくなった。

その話を、次の日、さがゆきさんにすると、

『きっと、何も見ていなくて、世界がぐるんぐるんとなってるのよ』

と言った。
きっと、彼女も、ぐるんぐるんの世界の中で、歌を歌っているのだ。

ベーシストの視線が、すごく気になることがある。
アート・リンゼイのライブに行ったとき、ベースのメルヴィン・ギブスが、終始、こちらに向かって、メンチを切って(ガンをとばして)いた。ような気がした。
もちろん、彼にしてみれば、観客のひとりのおやじなんぞは、眼中に無く、自分の出す音に対して、おとしまえをつけていたにすぎない。

ドラムのつのだ角田ケン健は、つの犬あらため、犬から人間になって、迷いがあるようだ。いっそのこと、つのケンにしたらどうかと思うが・・・
まえに
『田中信正に、グルーオンのベーゼンドルファーを弾かせてあげたかったので、呼んだ』
ということを言っておられて、心根がやさしい人なんだ、と思った。

金曜日は、遅番なので、半分しか聴けなかったのが残念だ。
後で聞くと、前半は、うしろの方の席にいても、振動が伝わった、というのりだったそうだ。
ううっ 残念

轟音は大好きなのに・・・