強烈な、昼間の熱気を、雷雲が少し鎮めて、夕方になろうとする頃、ピンク・フロイドのTシャツを着た、ロックおじさんがやってきた。
北山川ツアーで、二の腕のつけ根に、アブストラクトなタトゥーを入れたらしい。
ロック魂は、表現が、ストレートだ。

わたしの、自慢の、sweet のブルー・ヘルメットに一瞥をくれるなり、

『似合わないね』

と言った。

だが、ロックおじさんは、かぶっているメットが、悪かった。
同じ、sweet のメットだったのだ。
だから、わたしは、こう思った。

「似合わへんのんは、お互い様じゃぁぁぁい」怒り

だが、思っていても、口にはださないのが、おとなの態度である。
内向的で、よぶんな戦闘を好まないわたしは

『でも、若くてかわゆいギャルたちが、似合うってゆうてるから、いいもーん』

とゆいました。

わたしや、ロックおじさんの名誉のために、言っておくが、

sweet のメットは、人を選ぶ。
似合うのは、ひとにぎりの、小顔か、首のすらっとした、女性だ。


顔がでかい、中年おやじが、かぶると、左門豊作になってしまう。

それでも、よかとです

と、覚悟を決めて、かぶらなければ、ならない。

それでも、多くのひとは、

エリック・ジャクソンのように・・・

という、幻想を抱いて、sweet をかぶる。

かつて

『モーリス持てば、スーパースターも、夢じゃあ、ない!!』

と言った、谷村新司の言葉を信じて、モーリス・ギターを、買いに走った、フォーク少年のように・・・・・・・・・・・・・。