前回のあらすじ
前回を読んでくれー。

うえむ隊長。前編のコメント、ありがとうございます。
実は、昨日、ひととおり書いていたんですが、あまりに長いんで、前編、後編に分けた次第です。
で、読み返してみると、ちょっと文章が、ゴマアザラシのタバちゃんのように凍りついていて、読みづらかったので、石をぶつけて、叩き割ってからアップしようと思いました。

うえむ隊長のとっさの機転で、がけ崩れ2メートルの滝を回避できたわたしたちは←とっさの機転かー?意気揚々と、最初に予定していたより、少し下流のスタート地点へと向かった。

厳しいポイントを回避したことで、のんびりムードが漂い始め、初クリークのわたしやガチ・エージの表情筋も、弛緩しはじめた。
そんな、のんびりムードも、最初の落ち込みポイントで凍りついた。
というか、凍っていた。

こんなん通れるんかいな困った

岩にかぶさった氷の下を流れる水が、氷の下層を削り取る。
その結果、岩に氷の傘雨がかぶさったみたいになる。
それが、ただでさえ冬枯れで水の少ない水路を狭くする。
その傘を、石を投げて叩き落とす。
拳骨大のサイズだと、はじき飛ばされてしまう。
少し岸から離れた場所だと、うまく当たらなかったり、せっかくでっかいのを投げても、届かず、手前で落ちたりする。

手ごろな石や岩を探して、川の中にぶち込む作業
なにか懐かしい。

そう。
ホール造りの感覚だ。
しかも、氷を叩き落す快感と、ルートが確保されていく開放感、達成感。
ラグビーのパスみたいに横から投げるより、サッカーのフリースローのように、頭の上から投げ落とす方が有効だ、といった、実践に基づいた知恵

むーん。たまらない。

そうして、広がった水路を抜けていく。
思い出すは、映画『十戒』
モーゼの祈りと共に、紅海が真っ二つに割れる。
オレはモーゼだぁぁぁぁぁ!

氷に閉ざされた世界を切り開くは、あたかも南極越冬隊
オレたちは、原子力船「むつ」の精神的後継者だぁぁぁぁぁ!←もう、ええっちゅうに

そんなわけで、スカウティング+氷割り作業に要する時間が、下る時間の何倍もかかったのである。


厳しいポイントは回避しても、痩せても枯れても、というか、凍って枯れてるクリークである。
少し、気楽に下れるところと、難しいポイントが交互に出現する。
ポイントでは、しっかりと下見をすることが必要だ。
そして、氷割りと・・・。
どのルートで下るのかというコース取りをしっかりとイメージする。

そして、実際に下るのは自分なので、それができるのかできないのか、失敗したらどうされてしまうのか。そのようなリスクを犯してやる値打ちがあるのか、あるいは出来るのか。
ま、氷を割ったりしながら、或いは、先に下るパドラーのサポートをしながら、自分の頭の中で、めまぐるしい逡巡激しい葛藤があるのだ。

落ち込みの下に岩が出ていたり、厳しいクランクのルートを通り抜けたり、へたをすると、ピンニングしそうな場所があったり。と、パワーはそれほどないが、水量が少なく、凍っている分、テクニカルなコースになっている。
落ち込みを、先端を上げて飛び出すブーフー・ムーブがしっかり出来ていないと、ヤバイ場所も結構ある。
その上、スピードをつけたいところで、水底の岩をこすって、ブレーキになったりする。
もう、たまりませんよね。

ブーフー・ムーブというと、われわれの世代だと、三匹の仔豚ブタブタブタを思い出す。
何故かというと、三匹の仔豚の兄弟の名前が、ブー・ブタフー・ブタウーブタというのである。
ま、そんなこと、どーでもよろしいがな

そんな中で、目覚しい活躍をしたのは、オサムーチョである。
崖を移動し、岩に近づき氷を割る。
水に入り、毎週、星一徹がひっくり返していたちゃぶ台サイズの氷を取り除く。
まさしくクライマー山の面目躍如である。
  (なんや、こんだけかぁぁぁ怒り by オサムーチョ)

何よりも素晴らしかったのは、次々と展開する風景だ。
川の至る所に張った氷の下を水が流れ、静と動を演出したり。
凍りついた滝が、何本もの巨大なつららを造形していたり。
童心に帰って、それに石をぶつけて落としたり。
折ったつららを振り回してライト・サーベルやー、と・・・・、ま、そこまではやっとらんが。

なんか、ここまで書き込んで、実際、具体的にどんなところを下ったのかという描写が、あまりされてないなー、と、思いましたので、一箇所だけ、最後の難所を紹介しときます。

はっきり言って、ここはパスしようと、最初思った。
なぜならば、宮ノ平の旧「テトラの墓場」を思い出したからだ。
そう、数年前に一人のパドラーの命を奪った場所である。

今はもう、テトラが撤去されて、安全なのだが、実は、わたしもあそこのテトラでひっかかったことがある。
落ち込みを通り抜けるつもりが、瞬間的にはさまっていたのだ。
幸いにも、乗っていたボートが古い、長いタイプを改造した「なんちゃってC」で、フィッティングもいい加減だったので、すぐに脱艇して、ことなきを得たのだが、テトラの間に吸い込まれていくボートを目の当たりにした時は、背筋が凍りついた。

で、今回のポイントも、落ち込んだ場所に、いやらしい、いかにもひっかけたるでえ、というような、天然の曽根崎商店街のキャッチ・ホ゛ーイのような岩が、塞がっていたのだ。

入念なスカウティングの結果、ルートどりさえしくじらなければ、抜けられるだろう、という事で、無事に通りぬけた。

こうして、無事に帰れたのも、MC様のおかげです。←結局はそれかー